top of page

提案・評価分析

乗合タクシー買い物代行事業

サイクル&ライド推進事業

キエーロで生ごみゼロ作戦

若者にぎわいプラン505

農業応援プロジェクト「縁」

空き家バンク活用事業

アダプトプログラム

地域ふれあい拠点

乗合タクシー買い物代行事業

【対象地区】新治地区

【部門】持続可能なインフラの整備

《背景》

 調べた所、新治地区は以下の様な特徴を持っていることが分かりました。一つには高齢単身世帯のメッシュ人口データを見ると分かる様に、新治地区ではバス停から離れた場所に高齢単身者世帯が分散して居住しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

​土浦市バス停分布

土浦市の65歳以上の高齢単身世帯の分布(2015年国勢調査より)

 

 この事は、新治地区の人々の生活が自家用車に依存している事を示唆しています。このような状況下では、高齢者や年少者といった自家用車を運転出来ない人々にとって新治地区での生活は不便であるといえます。更に、買い物に関する問題以外にも高齢であり健康状態に不安がある人々が単身で暮らしている事から心身の異常を早期発見する事が困難になり、重症化とそれによる医療費の高騰が懸念されます。

もう一つのこの地域の特徴は、スーパーマーケットが少ない事です。

 iタウンページを用いて土浦市内のスーパーマーケットの住所を調べ地図上にプロットしました。これを見ると新治地区(黄色地域)にはスーパーマーケットが一つしかなく、スーパーマーケットでない個人商店や直売所の存在を考えても買い物利便性は低いと考えられます。

土浦市のスーパーマーケットの分布

 

 これらの特徴から新治地区の買い物環境は特に自家用車の運転が出来ない人々にとっては良好ではなく、買い物の利便性が著しく低下する事による買い物難民化の恐れもあり、また高齢者に対する健康状態の見守り活動が必要とされていると考えました。

 乗合タクシーについては運行日が平日に限られており、運行時間も8時から16時30分までとなっている等、利便性が低いといえます。

 この原因としては乗合タクシーの収支率が低くなっている事から、運行日や運行時間といったサービス規模の拡大が図れないという事を考えました。つまり、現状のままサービス規模を拡大すると更に収支率が悪化すると事業者や市が予測しているのではないかという事です。または、逆にサービス規模が小さく利便性が低いからこそ利用者が拡大せず収支率が低くなっている可能性もあります。

 

《提案内容》

 現在、土浦で行われている人を運ぶという乗合タクシーの業務に買い物代行と商品の配送を加える事により利便性の向上と、住民の見守りを行う「乗合タクシー買い物代行事業」を提案します。

 自宅で商品を入手出来る様にする事で、特に車を運転出来ない人々の買い物の利便性を向上し、タクシー運転手と利用者の直接的対面によって健康状態の見守りを達成します。またタクシー車両の遊休を削減すると共に、買い物代行と配送という新たな収益源を確保する事で乗合タクシー事業の収支率の改善を目指します。

 新治地区での買い物難民対策として、なぜ自宅配送が有効と考えたかというと図1を見ても分かる様に新治地区では高齢単身世帯は数としては少なく、また分散しています。この事から移動販売を含む店舗の新設は十分な商圏人口を確保出来ない為不適当と考えました。一方で自宅配送の場合には分散した家々へ配送するのに適しています。また、乗合タクシーを用いると良いと考える理由としては新治地区の高齢単身者世帯が少ない事から、配送する商品の量が少なくなると考えられ、既存のタクシー車両を用いる事が出来る為、トラックなどの新たな自動車への投資の必要がなくなるという理由があります。

 買い物代行と商品配送という新たな収益源の確保が必要である理由は、先述した様に現在の業務のままでのサービス規模拡大は更なる収支率の悪化を招くと考えらえるので、サービス規模拡大による利便性向上の為には新たな収益源の拡大が必要であるからです。

 逆方向からのアプローチとして、サービスの多様化によって乗合タクシーの魅力を向上し会員数や実際の利用者を増加する事で収支率を向上できるという可能性もあります。

 この提案に係る問題点としては、まず一つに法的な問題が考えられます。現在の法律下ではタクシーが貨物を運ぶことは許可されていません。しかしながら、現在では、過疎地域自立促進特別措置法上の過疎地域を出発もしくは目的地とする場合には許可を受けることが出来るように規制が緩和されています。新治地区は過疎地域として指定されていませんが、2018年には更なる規制緩和を求める内容が政府の規制改革推進会議からの答申に盛り込まれるなど規制緩和への運動がある事から将来の実現可能性は十分にあると考えました。

 

《費用試算》

 この提案の費用の面における特徴としては新たな車両購入が不要であるという事です。必要な費用としては、運行距離の増大に伴う燃料代や人経費といった運行費の増加分が考えられます。一方で商品配送サービスによる収益拡大や、乗合タクシーの利便性向上や買い物代行と自宅配送の開始に伴う会員数の増加による年会費収入の増加による収益拡大も考えられます。

 以下の試算では、提案による運行費の増加と収益の増加を比較する事により提案の財務面からの実現可能性や、実行後の持続可能性について検証します。なお、会員数の増加については予測が難しい為考慮しない事としました。

  現行の旅客収益に関しては2010年から2015年までの状況から利用者1人当たりの平均費用と平均収益と、会員一人当たり平均利用回数を求めました。会員数については2015年の数を利用しました。

 まず、配送料金の設定についてはスーパーマーケットのカスミで行われている同様のサービスの料金を参考として利用1回当たり100円としました。これは、配送を主たる業務としないスーパーと買い物難民の軽減を目的とする本提案の類似性からその様に設定しました。

 会員の内5割が配送サービスを利用すると仮定し、買い物の頻度を月に4回で年に48回と仮定しました。その結果算出された年間延べ配送利用者数に、過去の収支情報から算出された利用者1人当たりの運行費用を乗じた上で、旅客輸送と比べて商品配送の場合には利用1回当たりの運行距離が短くなることを考慮して、積の10%を商品配送業務全体の運行費としました。

 商品配送による収益に関しては、年間利用回数と配送料金を乗じて求めました。

 費用の試算は以下の様になりました。収益を費用で除した収支率は4%の向上が見込まれるという結果となりました。

乗合タクシー買い物代行事業に係る費用試算

 

《効果》

この事業によって、買い物利便性の向上によって新治地区の買い物難民の増加を軽減し、タクシーの収支率改善による運行日・時間の拡大といったサービス規模の拡大を図り、そして定期的な訪問時の会話などを通し、健康状態の確認により高齢者単身世帯の孤立を防ぎます。

サイクル&ライド推進事業

【対象地区】三中地区及び都和地区の一部

【部門】 持続可能なインフラの整備

 

《背景》

 図5-3の黒丸に示す地域は、バス停の徒歩圏から外れた地域に人口が多く住んでおり、徒歩でのバス利用が不便である人々が多いといえます。しかし、新治地区やその他の地域よりバス停には近いといえます。なお、徒歩圏とは土浦市の土浦市地域公共交通網形成計画での徒歩圏の定義に準じました。

 

土浦市のバス停の徒歩利用圏

 この事からこれらの地域ではバスの利用が不便になっていると考えられます。更に今後の高齢化によって車を運転できない人々が増加した場合にはバスの徒歩圏外の人々の利便性はより低下すると思われます。

 土浦では自転車交通の促進が行われており、サイクリングロードやプレイアトレといった観光客向けの施設は整備されつつある一方で、自転車専用レーンなどの市民向けの自転車環境は未だ未整備となっています。

 

 

 

 

 

 

 

土浦駅周辺の自転車環境整備状況 土浦市『総合交通体系調査概要』より

 

《提案内容》

 前述の地域におけるバス利用の利便性向上のため、バス停に駐輪場を設置する事で、自転車とバスを連携しより遠くからバス停を利用出来る様にする事業を提案します。

 具体的には下図の 緑丸のバス停において駐輪場を設置し、より遠くからバス停を利用できるようにし、周辺の人口が多い地区を利用圏内に加えます。なお、自転車による利用圏を徒歩と自転車の平均速度から半径900mとしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

整備対象のバス停

整備後のバス停の利用圏

 先述の黒丸の地域では、バス停に比較的近い場所に人口が多く住んでいる事から自転車を用いる事で拡大される利用圏によって人口の多くがカバーすることができます。

 提案の問題点としては、放置自転車への対策の必要性があります。対策としては認定証を配布する事やバスの運転手による目視確認による対策が考えられますが、手続きが煩雑であるという問題や、バス会社の協力を得る必要性があるという問題があります。

 

《費用試算》

 費用に関しては、駐輪ラックの値段について製品の価格から18,600円と12,400円として、設置工事を15万円程と仮定して10台分を1つのバス停に整備すると、1つのバス停当たり30万円程の初期費用が必要となると推測されます。

 

《効果》

この事業によって、バス停の利用圏を人口の多い周辺地域に拡大する事によるバス利用の利便性向上、自転車利用の普及による健康増進、自家用車利用が難しい住民の交通支援、そして渋滞の軽減が見込まれます。

キエーロで生ごみゼロ作戦

【対象地区】新治地区

【部門】 持続可能なインフラの整備

《背景》

 

一人1日あたりのごみ排出量

 土浦市は、全国的にもごみ排出量が多く、その処理経費に年間11億ほどの予算がかけられています。また、土浦市の最終処分場の埋立量は平成27年度末で残り32%となっており、処理施設の延命化も課題となっています。

 このような背景のもと、ごみの減量だけでなく、負担の公平化、ごみ意識の改革を目的にH30年10月より土浦市はごみ袋の有料化を行いました。

 

《提案内容》

 土浦市の現状を踏まえ、私たちは「ごみ処理を楽しく」をコンセプトに、キエーロによる生ごみゼロ作戦を提案します。

 キエーロとは、神奈川県三浦郡葉山町にお住まいのご夫婦が発明された生ごみ処理機であり、土と太陽と風の力を借りて、家庭で簡単に生ごみを分解するものです。

キエーロ

 具体的には、上図のような木箱に黒土を入れ、黒土の中に住むバクテリアが生ごみを分解するものであり、従来のコンポストのように臭いがでたり、土の量が増えたり、虫が発生してりすることがないため、手軽に生ごみを処理できます。 

 今回の提案では、このキエーロを新治地区全域に、普及させることにより、新治地区における生ごみ収集を段階的に廃止し、生ごみ排出量をゼロにするというものです。

 普及方法としては2つの方法があります。一つ目は、土浦市が毎年行っている生ごみ処理容器等設置事業補助金の助成対象にキエーロを盛り込むことです。現行の助成制度では、電気式生ごみ処理機やコンポスト容器、EMぼかし容器が対象とされていますが、ここにキエーロを盛り込むことで新たな生ごみ処理の方法を広めます。二つ目に、廃材を利用して製作したキエーロの無料配布です。実際に静岡県湖西市では、廃材を利用して作ったキエーロを年間150基ほど、H30年3月までに計734基無料配布しています。

 

《費用試算》

 本提案における経費としては、主に広報費と人件費が挙げられます。助成金については既存の枠組み内で行うため、新規にかかる経費はなく、廃材を利用するため、材料費もかかりません。一方で、キエーロを一基普及するごとに、1世帯分の生ごみ処理費用(約3000円/年)が削減されます。最終的に生ごみの収集を廃止することで、処理費用だけでなく、ごみ収集費の削減にもつながります。

 

《効果》

 本提案の効果として、生ごみ処理費用の削減だけでなく、ごみ・環境意識の向上によるごみ排出量の減少、また、自然の力を身近に感じることによる環境教育への転用効果が見込まれます。すでに導入されている市町村では、生ごみだけでなく、ほかのごみの排出量の減少効果も報告されています。また、本提案は単に経費を削減するためではなく、キエーロという自然を活用したシステムを利用することで、コンセプトのように「楽しく」ごみ処理をするというものを推し量るためであり、楽しみながらコストを減らすことが可能となります。

若者にぎわいプラン505

【対象地区】中央地区

【部門】 安定した産業基盤の持続

 

《背景》

 

中心市街地の年間小売販売額の比率推移

 

 背景の一つ目として、中心市街地の衰退があげられます。中心市街地の年間小売販売額は近年減少が続いており、土浦駅前のモール505も空き店舗率が48%と中心市街地の空洞化が顕著となっています。もう一つの背景として、土浦市のポテンシャルである高校生に注目しました。土浦市の高校生徒数は8000人を超えており、県内で2位となっています。また、高校の分布を見ると駅前のモール505が市内の高校に通う高校生の通学路となっており、中心市街地に高校生が集まる形となっています。

 これらの背景から、高校生の活力を利用して中心市街地のにぎわいを取り戻すことを目的として提案を行います。

 

《提案内容》

 モール505の空き店舗を利用して、高校生が集う交流ステーションとeスポーツセンターを作ります。

​◆交流ステーション

交流ステーション完成予想図

上図の左側が会議空間、中央がリラックス空間、右側が土浦市に関する情報発信の空間です。これをオープンスペースとして開放し、学校間サークルのミーティングや就活イベントなどに利用することによって学校の垣根を超えた交流や、地元企業との新たな出会いを生み出します。全て無料で開放することにより、高校生が立ち寄りやすい空間をつくります。現在、モール505の一画に「まちなか交流ステーション ほっとONE」という施設が市によって委託運営されていますが、2018年にリニューアルされ、インターネットサテライトなどの新たな試みを導入したことにより、オープンスペースが縮小してしまいました。まちなかでの交流空間の確保を目的として提案しました。

 

◆eスポーツセンター

eスポーツセンター完成予想図

 eスポーツができるゲームセンターのような空間です。eスポーツ自体はオンライン対戦で一人でもプレイできますが、このeスポーツセンターは複数人で一緒にプレイすることで盛り上がることができます。eスポーツは現在とても注目されている種目であり、2019年茨城国体の文化競技にも選定されました。eスポーツを複数人で一緒にできる施設は数少ないため、市内のみでなく土浦市周辺の都市からの集客も見込むことができます。

《費用試算》

若者にぎわいプランにかかる初期費用

 これに加えて、移設する交流センターの継続的な運営費用を、移設前と同様に毎年計上します。

 

《効果》

eスポーツセンターに関して、市内の小中高生をはじめとして、周辺市町村の学生も利用することを仮定し、経済波及効果分析を行ったところ、およそ9000万円の波及効果が見込まれることがわかりました。従来、郊外の大型ショッピングモールに流れていた若者を中心市街地に呼び戻し、交流施設や楽しむ場を作り滞留時間を延ばすことで、市街地のにぎわいを取り戻し、モール505の空き店舗の解消をはじめとして、中心市街地の商業の発展が期待されます。

農業応援プロジェクト「縁」

【対象地区】全地区

【部門】安定した産業基盤の持続

 

《背景》

農業の支援方法の未確立や既成制度の未活用が問題とされていますが、それによって将来的に耕作放棄地問題や後継者問題などが深刻化すると考えられます。よって支援方法の確立や既成制度または新たな制度を用いた課題の解決が求められます。

《提案内容・効果》

 ネットワーク形成を軸に農業支援を目指し、お互いにwin-winなシステムの構築を行います。参画者としては、農家、将来の農家を目指している人、農業経営に精通している専門家、飲食店、医療機関です。

 

概念図​

【農家―未来の農家】

○農家ブリッジプロジェクト

何らかの理由で廃業予定である農家と将来農家を始めたい人を橋渡しするというプロジェクトを行います。耕作地をそのまま譲渡・貸出することに加えて、ある程度の研修を農家から未来の農家に対して行って貰います。耕作放棄地から農業を始めることは困難ですが、維持管理された農地を確保できることで未来の農家にとっては大きなメリットとなります。また、農家は譲渡・貸出を行う相手を知っているため、安心した契約が可能となります。

【農家―専門家】

○農地訪問

農業運営に精通している専門家によって運営上の課題の解決案を提示したり、相談にそったりすることで持続的な農業の実現につながります。

【農家―飲食・医療】

○販路拡大

土浦ではレンコンやそばなど健康によい食材の生産が盛んです。そのような強みを活かして、有名飲食店への販路拡大や生活習慣病専門の医療機関などへの食材提供を行います。それにより安定した需要の確保や土浦の知名度向上を目指します。

空き家バンク活用事業

【対象地区】全地区

【部門】 安全な生活環境の整備

 

《背景》

初めに、市内の空き家率については16.1%と全国平均 13.5%を上回る数値となっています。今後も人口減少に伴い、市街地・農村部に関わらず空き家が増加することが見込まれます。

それによって防犯上のリスクが高まり住環境の安全が損なわれる可能性があるため、空き家対策が必要であると考えられます。

また、市営住宅については、大規模改修が必要とされている築 30 年を経過している建物の割合が92%、そして建て替えが必要とされる築 60 年を 10 年以内に迎える建物の割合が15%となっています。しかし更新を行うには財政的に負担が大きいため、人口減少に伴う需要変動に柔軟に対応していく必要があります。よって、老朽化している市営住宅への対策が求められます。

《提案内容》

先の2つの問題を解決するために空き家バンク活用事業を提案します。通常、空き家バンクとは空き家の流通を促すことを目的とし、空き家所有者が自身の空き家を登録することができるデータベースのことです。空き家の所有者がここに空き家情報を登録することで契約の仲介や空き家の情報をサイトに掲載してもらえる制度です。この事業ではそれらに加え、市営住宅に住む人が入居ことのできる程度の賃料で貸し出せる所有者を増やすために、改修費補助などの優遇制度も導入します。また、同時に空き家バンク制度に加え市営住宅の一部廃止を行い、その住宅の居住者を空き家へ移住させます。これは市営住宅更新に必要な経費を削減するとともに、空き家を準公営住宅として活用することを意図しています。市営住宅を廃止する際は、築年数や居住地に関する上位計画に応じて廃止するか否かを決定し、40年程の期間で実行することを想定しています。活用する空き家に関しては、既存の空き家が一中地区、四中地区、三中地区に多く分布していること、そして立地適正化計画において居住誘導区域が常磐線沿線となっていることを踏まえ、両区域内に存在する空き家を優先します。

 

空き家バンク活用事業の提案概要

《費用資産》

上記の提案によってかかる費用は以下の表の通りです。

 事業を行うことで総負担額 45 億円減少、年間1.1億円の減少効果が見込まれます。

《効果》

 上で述べたように、市営住宅更新費を抑えることで財政面での負担を減らし(年間 1.1 億円)、空き家を有効活用することで防犯上の安全を向上させ、さらには中心市街地に居住誘導を行うことで活性化をもたらす効果が見込まれます。

アダプトプログラム

【対象地区】北部地区

【部門】 安全な生活環境の整備

 

《背景》

 土浦市北部は、神立駅を中心に多様な産業が集積しています。特に駅周辺は、工業団地が立地しており、工住近接の住宅街が広がっています。工住近接地域の特徴として、住民視点では、雇用が身近にあることがあげられる一方で、工場災害の危険性や、大型トラック等の車両交通の多さ、およびそれに伴う安全面の不安があげられ、工場の視点では、工場用地の拡張スペースが不足することや、細街路が多く輸送が困難であること、地域住民への配慮が必要となることがあげられます。

 工住が近接する神立駅周辺地域では、それぞれが別々に地域の暮らしを営むのではなく、相互に連携を取りながら地域の暮らしを守ることが必要とされています。

 

《提案内容》

 このような現状を踏まえ、工場と地域住民、そして行政が協働してまちを守るアダプトプログラムを提案します。

アダプトプログラムとは、市民と行政が共同で進める清掃活動をベースとした美化プログラムであり、1985年にアメリカ・テキサス州のハイウェイにおける散乱ごみの清掃費の削減を目的に行われた道路清掃ボランティアが起源とされています。日本では、1988年に初めて導入され、以後全国に広まっています。土浦市においても現在、土浦市道路愛護ボランティア支援制度が実施されています。

本提案は、工場が主体となり、地域インフラである道路や公園の里親となり、インフラ設備の維持・管理を行うというプログラムです。ただ、工場が維持・管理を行うのではなく、そこに住民を巻き込むことで地域住民と工場との交流を図ります。

《効果》

 本提案の効果として、工業側としては地域貢献活動の参画によるイメージアップ、行政側としてはインフラ設備の維持管理における負担の軽減があげられます。また、住民を巻き込むことで、住工共生のまちづくりを推し量り、相互に思いありのある安心・安全なまちづくりが可能となります。

地域ふれあい拠点

【対象地区】北部地区、南部地区

【部門】 豊かな関係性の構築

 

《背景》

 分野別構想で挙げられた土浦市の豊かな関係性についての背景に対し、土浦市は高齢者拠点として各中学校区に生きがい対応型デイサービスを展開しています。

 

土浦市の生きがい対応型デイサービス

 

 これは健康な高齢者が集まり、趣味活動などを行うことで生きがいを提供する事業です。土浦市は毎日趣味活動を開催しており、今年度の補助金額は4426万円に上ります。市の補助金等検討委員会はこれに対し減額が必要であるとしており、来年度以降は運営の負担が大きくなることが予想されるため、予算を削減しながらも運営ができる仕組みが必要です。

 また一方で子育ての拠点として児童館が挙げられます。新治地区、北部地区、南部地区の3か所に立地しており、18歳以下の児童及びその保護者が利用することができます。

土浦市の児童館

 ここは子どもたちが社会性を育む場として利用できますが、施設の老朽化が問題となっているほか、土浦市でも少子化が進行しているためそれらに対応して規模を縮小させる必要があります。

《提案内容》

  私たちの提案はこれら二つの施設を掛け合わせ、「住民がだれでも訪れることのできる」地域ふれあい拠点を作るというものです。

​津和公民館改修イメージ図(左:改修前 右:改修後)

 背景で述べた二種の拠点と異なり、幅広い世代が立ち寄れることを想定しているため、世代を越えた交流が可能となります。しかしその施設だけを用意しても同世代のみのコミュニティしか形成されないことが予想されるため、「施設利用者による運営の補助」を取り組みに盛り込みます。利用者の世代を越えた協働を行うことでコミュニケーションが生まれ、それが交流のきっかけとなると考えています。ここで言う「運営の補助」「協働」とは家で行うお手伝いのような内容を想定しており、利用者に大きな負担はかけないようにします。

《費用試算》

 まずは児童館の規模を縮小させた際の改修費の差を比較すると、北部で展開を想定している都和児童館の場合は1.4億円から1.3億円への削減、ポプラ児童館の場合は1.9億円から1.7億円への削減が見込まれます。

規模縮小前後の改修費の差​

 また、デイサービス助成金はそれぞれ60~120万円削減が可能であり、運営費は単純計算で都和児童館は985万、ポプラ児童館は946万円の削減となります。よって都和児童館では最大で年間1100万円、ポプラ児童館では1060万円の削減を見込んでいます。

《効果》

 この提案によって利用者の運営補助によって予算削減に伴う運営の負担軽減が見込めるほか、幅広い世代の交流が住民の刺激となり、そのことがより強固なコミュニティ形成に繋がります。それが若者の地元愛着を喚起することに繋がり、将来的には人口の定着が可能ではないかと考えています。

© 2019 マスタープラン実習 5班 Wix.comを使って作成されました

bottom of page